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角田範義 第16代附属図書館長 (在任期間:平成21年4月-平成26年3月)

思考のすすめ

角田館長
 孔子の論語「温故知新」、“故(ふる)きを温(たず)ねて新しきを知る”と言う言葉を知っていますか。 私は、その故きを温ねる場所が「知」が蓄えられている「図書館」であると思います。 高度に発展した現在のIT社会に於いては、皆さんが温ねる場所はインターネットの検索サイトでしょうか。 しかし、そこで得られる「故き」はどの程度でしょうか。さかのぼっても20年くらいではないでしょうか。 20年前はPCが使われ始め、同時に、技術革新による新しい測定技術が開発され、 今まで得られなかった新しいデータが中心の論文が発表されています。現在と近い構成の論文が多く見受けられます。
 しかし、現代科学の基礎が築かれたアインシュタインの時代は現在のように実験器機が進歩しておらず、 思考という手法が真理を得るために重要でした。多くの論文は、少ない測定結果から、 真実を見つけ出すために様々な観点から論理的な議論の展開が行われていました。 現在の測定結果から見れば間違った解釈の論文も見られますが奥深い内容を含んでいます。 それに対し、今の論文は最先端の器機を多々使用する結果、それらをまとめただけと思われるものが多く、 論理的な考え方という点で物足りなさを感じます。これは、現在の情報スピードの速さと情報量の多さという 恵まれた環境が逆に災いしているのかもしれません。好むと好まざるとにかかわらず、 私たちはこの情報社会の中で生きていかねばなりません。そのために、図書館は、 対象となる学術情報の提供・迅速化への対応も行っていますので積極的に利用して下さい。
 図書館にはその「故(ふる)き」が蓄えられています。それは学術論文であり書籍です。 図書館で「故(ふる)き」に触れ、思いを巡らし、新しいアイデアや理論を見つけてください。 必ずや得られることがあると思います。図書館の空間はあなたたちに時の流れを忘れ、 充分に思考する時間を与えてくれます。時には、スマートフォンやタブレットPCから開放されても良いのではと思います。
 図書館は24時間その場を提供しています。

平成24年4月9日
附属図書館長 角田 範義

(最終更新日:2017年1月24日)